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特別な教育的ニーズ論の研究 (Theory of Special Educational Needs)

 特別な教育的ニーズの概念モデルのうち、「相互作用モデル(interactive model)」に基づいた理論開発を研究しています。このモデルの特徴は、特別な教育的ニーズの概念を、子ども自身の「個体要因」と学習環境に関わる「環境要因」との相互作用による動的なモデルとして理解する点に特徴があります。この考え方に基づくと、「障害のある子ども=特別な教育的ニーズのある子ども」と固定化されることがありません。同じ子どもでも「特別な教育的ニーズ」が強く表れている状態の時もあれば、特別な教育的ニーズが生じない時もあるととらえて、子どもの状態に柔軟に合わせた対応を導くことが可能となります。

コンジョイント調和理念の開発研究 (Principal of Conjoint Harmonization)

 コンジョイント調和理念(conjoint harmonization)は、ノーマライゼーション理念などと同様に福祉や教育の分野における基本理念の一つとして、21世紀の社会状況を背景に提起するものです。複数の対立概念からバランスをとった調和点を導き出そうと考える点に特徴があります。

インクルーシヴ教育に関わる理論の研究

 インクルーシヴ教育については新しい障害者権利条約の批准を契機に急速に日本の教育制度において具体的制度を模索する動きが進められていますが、その定義や基本概念が理論的な整合性と頑健性(robustness)が確立されていない状態です。この状態で性急な制度の設計や展開がなされてしまうと、将来において深刻な問題を引き起こすと考えられます。こうした問題を生じさせないように、特別な教育的ニーズ論とコンジョイント調和理念をふまえたインクルーシヴ教育の理論開発を行っています。