学部 「精神遅滞教育学」(02年度) 講義担当者:真城
各グラフの数値は「人数」を表します(N=26)
(原文そのまま記載) |
|
・授業の構成や進め方について
前半の講義が大変ためになり,毎回いいお話を聞かせていただきました。 実際,模擬授業を行うことで子どもたちに何をどうやって伝えればよいのか考えられた。 黒板を分かりやすく,まとめて書いてほしい。 授業を実際に自分でつくってみるのは勉強になった。 参考図書があったら教えてほしかったです。 もっと前にやった人たちの授業を見てみたかった。時間数がもうちょっとほしかった。 模擬授業というものに正直とまどってしまい,思うように自分を表現できなかった。他の班の授業を見る上でも大変得たものを感じられたが,もう少し準備の前に参考になる授業のビデオを見るなどアドバイスというか手助けになるようなものがほしかったと,私個人としては感じてしまった。 |
この授業では,何よりも各受講生のみなさんが自分自身で考えることを大切にしてほしいということを強調してきました。前半の講義はそのための材料提示にすぎません。 授業の中でもお話ししましたが,以前の受講生の模擬授業の様子を事前にお見せしていないのには理由があります。 それは,みなさんが授業を作る前に「参考」の映像を見てしまうと,その影響を強く受けてしまうからなのです。福祉教育や障害理解教育は,ともすると「形式的な授業」に陥りやすい可能性があること,そしてその結果,子どもたちの中に表面的な理解,いいかえれば「わかったつもり」になる状態を作り上げてしまう心配があることについては,講義の中でも繰り返しお話ししてきたはずです。 だからこそ,まず最初に「見本」をみることなく,自分たち自身の中から考え出すことをこの授業の課題としたのです。そうでなければ,「これをやったら福祉教育」「これをやれば障害理解教育」という間違った発想につながってしまいやすいのです。その弊害については,何度も強調してきたつもりでしたが・・・・。最後にこうした感想がでてきたことは,ちょっと悲しいなあ。 もちろん,みなさんが授業を作って発表した後に,過去の模擬発表のビデオを見たりすることは,むしろ奨励したいと思っています。もっとも,授業の中でやるためには,「通年」の授業にしないと無理ですが。 いずれにせよ,先例を参考にせずに,考えることは大変なエネルギーが必要なことですが,だからこそ鍛えられるのです。実際に教壇に立ったとき,自分で考えることのできない教師は,決して仕事を全うすることができません。教職はそんなに簡単な仕事ではないのですよ。確固たる自覚をもって! |
・模擬授業について
実際,模擬授業を行うことで子どもたちに何をどうやって伝えればよいのか考えられた。 「初!の授業」でとてもよかった。その分,教えられるだけよりたくさん感じられたと思います。たくさん考えました。 模擬授業をして,授業の進め方や伝えたいことをどのような形で伝えるのかなど,大変さがわかりました。 授業をつくることで大変さがわかった。子どもに教えるには私自身の知識,考え方をしっかりしたものにしなければ・・・と思った。 |
「人の話を聞いて理解できても,人に伝えることができるわけではない」という基本中の基本を感じていただけましたか?教師は,毎日そうしたことを感じながら,子どもたちへの授業を考えているのですよ。1の知識を伝えるためには,それを支える10の知識を備えていることが必要なのです。この授業では,「知的障害」を主題に取り上げましたが,もっともっとこれについての知識を持たなければならないこと,そして,その基本に「障害」に対して各自が真剣に向かい合わなければならないことを実感してもらえれば,この授業は成功なのですが。 模擬授業の計画を通して,たくさん悩み,たくさん考え,たくさん議論をした人ほど,きっとそこに近づくことができたはずです。 |
・グループについて
(これに関する記載はありませんでした) |
今年は1時間目に設定をしたこと,昨年の受講生から負担の大きさを聞いてやめた人がいたことなどから,例年よりも少し受講生が少なかったので,各グループを念願の5名以下にすることができました。 それでも受講生間で負担の大きさに差があったグループもあったようです。しかし,毎年お話ししているように,たくさん分担した人ほど確実に実力がついたはずです。 |
・レポートについて
すごく身になるというか,将来役立つ授業だった。だけど,レポートが多いのでつらかった。 毎回のレポートがきつかったです。 |
お疲れさまでした。これでも昨年よりはレポート等の総量は少なくなったのですよ。昨年は,模擬発表の際にもレポートを提出してもらっていましたし,途中で「知的障害」に関する基礎知識を問う小テストも実施しました。今年はこれらを省きましたので,多少は楽(?)になったはずです。 もっとも,これも毎年お話ししていることですが,単に負担を大きくするためにレポート課題を出しているわけではありません。全部読んでいる私の方も,相当大変なのです。 ただ,授業者自身が誤った理解をしている可能性がある場合には,それを正しておかないと大変なことになります。気づいた人もいたかもしれませんが,グループ討論の際にもレポートの内容をふまえて,個人的にフォローしていたのですよ。 昨年の授業評価の際に書いたことをもう一度引用しておきます。 「この授業は,養護学校教諭の免許状取得のための必須科目ですが,本当に真剣に取り組もうとしている人だけに参加してもらいたいと思います。単にレポートの量が多くて負担だと感じるのであれば,是非,その旨を後輩たちに伝えてあげてください。大変そうだと思って受講を敬遠する人が増えるということは,受講者には真剣な人がさらに増えることになるので,私としてはありがたいことです(笑)」 |
・その他の感想
教員を目指す人はこの授業をとるべきだと思いました。 「障害」に対していろんな見方ができることがわかった。 模擬授業をやらせていただき,そして,先生,クラスメートから意見,アドバイスをもらえました。将来のことに対して,役に立つと思います。 |
子どもたち以上に大人である教師の方が,「障害」に対して限定的な見方をしていることも少なくありません。みなさんには社会的な視点を中心にすえながら,多角的に「障害」についてとらえる見方を身につけてほしいと思って講義をしてきました。この点を是非,再確認してください。 |
使用したテキスト
山口洋史・山田優一郎編:知的障害をどう伝えるか.文理閣
授業の進め方
まず,テキストを使用しながら6回にわたって障害理解教育の背景や基礎的考え方について講義を行った。毎回の授業ごとに,授業の内容とそれに対する自分の意見をレポートとして提出してもらった。
ついで、合計8つの班にグループを分けた。各グループを単位として障害理解教育の模擬授業の計画を約1〜2ヶ月(グループの発表順により準備期間が異なる)にわたって行った。
これは、知的障害児が登場する児童文学作品1編を読んだ上でのレポートを提出し,それをふまえて実施された。
1月より,毎週2班ずつ,各40分間の模擬授業を発表してもらった。発表班以外の学生は,「小学生」になったつもりで授業を受けてもらった。各授業後には,発表に対する授業評価を実施し,内容をまとめたものを翌週以降に全員に配布して,学習が深められるようにした。
講義の期間中は,毎回の授業ごとにレポートを提出させるようにし,内容の定着を図った。
ご意見などは
sanagi@e.chiba-u.ac.jp